悪の教典は映画(動画)と小説のどっちから見るべきか論争

公開日: : 最終更新日:2017/04/06 オススメの小説など

      

悍ましい?それでいいじゃない

皆さんは今は亡き深作欣二監督作品「バトル・ロワイアル」という映画を知っていますか?

発表された当時、あまりに作風が残虐だったので世間の風当たりも当然厳しく、映画発表時に多感な時期を迎えていた現在の20代中盤〜30代前半の世代の人の中には親から見るのを禁止されてた人が相当数いたと思います。

まぁ単純に人を殺しまくる映画でしたから、親が良い印象を受けないのも分かる気がします。

ただ、

エンターテイメントなんだから残虐でも良くね?

とも思っちゃいますよね。

もちろん、アイデンティティーを形成する過程で有害になりうる作品は規制すべきだと思います。
その為に映倫があり、わざわざ年齢制限を設けてるわけです。

ただ世間一般のイメージである、純文学作品が高貴で、残虐無慈悲なエンタメ文学が下劣というのは頂けません。

映画でも小説でも同じですが、何か人生の教訓的な物を得ようとして見聞きする作品もあれば、単純に刺激を求めて鑑賞する作品もあって良いと思うんですよ。

そもそも小説なんて“暇を持て余したエロ武士の嗜み”が起源だと勝手に思っていいます。
その証拠に、ジャンルに関わらず殆どの小説にエロシーンは付き物です。

そうなれば、映像作品で言ったところの“18禁”と同様、殆どの小説に年齢制限を設けなくちゃいけなくなっちゃいますw

エロが高貴だというのであれば反論の余地もありませんが、仮にエロが高貴なら濡場を描いている作品に年齢制限を設ける必要はないですよね?
教養として有益なら制限は寧ろ足枷になりかねないですから。

というわけで、私は純文学もエンタメ文学も同列に語るべきだと思っています。
優劣をつける意味が分かりません。

それに加え、性善説なんて神話同然でしょうから、年齢規制を掛ける事にどの程度の効果があるのやらって感じです・・・。

前置きが長くなりましたが、今日語るべきは「悪の教典」の楽しみ方でしたよね。

ではでは、早速本題に移りましょう。

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悪の教典の予告編を見てみよう

作品自体は単純です

予告編を見ていただければ分かるように、サイコパスの教師・蓮見聖司が人の命を狩りまくるという何の救いもない映画です。

この映画を見て何かを感じる人もいるのかも知れませんが、私は残虐無道な映画だなーとしか感じませんでした。
確実に観ていて良い気分のする映画ではありません。

まぁ原作・貴志祐介さん、監督・三池崇史さんのタッグともなれば、大凡どんな作品が出来るのかは想像に難くないわけですが・・。

それでも見てしまうのが人間の性なのでしょう。
そこには単純に自分の感性では捉えきれない世界が広がっているので、いわゆる怖いもの見たさが先行してしまうわけです。

誤解の無いように言っておきますが、私は貴志祐介さんの作品が大好きです。

悪の教典以外にもサイコパスをモチーフにした作品、人が死にまくる作品を多数発表していますが、どの作品も夜道を一人で歩くのを躊躇う程の多大なる恐怖を与えてくれますw

中には非現実的な作品もありますが、多くの作品が日常生活で普通に起こる些細なトラブルを発端とした殺戮系作品で占められているので、怖い系がダメな人はホラー作品(リング・呪怨など)以上に貴志祐介さんの作品は合わないことでしょう。

イメージで言えば、絶叫系ホラーではなく、腰を抜かしてションベンちびる系の作風ですね。

小説を読む前に映画を見るのをオススメします

さて、私はこの「悪の教典」の楽しみ方として一番にオススメしたいのが、映画を見てから小説を読む事です。

理由は単純で、小説の描写が細かすぎてイメージを捉えにくいかなーと思うからです。

登場人物・殺される人物が貴志さん作品史上最も多いので(多分)、話が少々複雑になりがち。
なので、先に映画を鑑賞してイメージの大枠を固めてから読むのをオススメします。

ただ、作品の完成度で言えば、言うまでもなく、小説>映画です。

上下巻で構成されている原作小説を2時間に収斂させる方が無理難題なのでしょうが、映画では小説の魅力の半分も出せていないように感じます。

重要な話をカットしているシーンも多いので、「青の炎」と同様、やっぱり貴志祐介さんの作品は映画に向かないんだなーと改めて感じさせられました。

内容が非常に濃いのにも関わらず、それを分かり易い文章で読者に伝える事の出来る貴志さんの文章力。濃いがゆえに映像化が難しい表現力。映像化が難しいゆえに貴志さん原作の映画は評価が上がらないというジレンマ・・・。

貴志祐介さん原作の作品が社会的に大きな評価を得る日はいつ来るのか・・・。

ちなみにdTVでは「悪の教典〜序章〜」が、Huluでは「悪の教典(本編)」他、多くの作品を無料で視聴できるので是非利用してみてください。

どちらか一つに絞るのであれば本編を見るべきですが、しっかりと話を理解したいのでれば序章⇨本編の順に視聴するのがオススメ。

無料期間内に解約すれば料金も発生しないのでオススメですよ。

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映画を見たら絶対に原作を読むべし!

さぁ、映画でたっぷりと貴志祐介ワールドを味わったところで、本当の意味で貴志さん原作の“悍ましさ”を味わってみてはいかがでしょうか?

それには原作を読むことが一番。

皆さんは小説を読んで鳥肌が立ったり、恐怖に足(指)が竦んで次のページを繰る事ができないなんて経験をした事がありますか?
貴志さんの作品はまさしく「恐怖で読み進む事が出来ない」という言葉を具現化し、地で行くような作品を多数発表しています。

その中でも代表的なのが「悪の教典」「クリムゾンの迷宮」、そして「黒い家」の3作品でしょう。

この3作品は是非とも読んでみてください。

「悪の教典」「黒い家」に関してはサイコパス殺戮系で、読み終わった後に自分の背後が気になってしまい、生きた心地がしない作品です。
現実と空想、2次元と3次元がリンクするとは良く言いますが、まさしくそんな感じの作品です。

そのくらい現実で起こってもおかしくない設定、ストーリーなんです。

一方、「クリムゾンの迷宮」は貴志さんにしては珍しく非現実的な作風と言えるかと。

とはいえ、設定が非現実的なだけであり、話の内容としてはかなり現実的。
背後から襲われる恐怖感、最後の最後に起こるドンデン返し感、自分が生き残るための倫理観など、何重にも仕掛けられたトラップ・伏線を存分に楽しんでもらえると思います。

ついでに、個人的なオススメ順は、1位・黒い家、2位・クリムゾンの迷宮、3位・悪の教典です。


黒い家 貴志祐介/〔著〕

生命保険会社で働く主人公・若槻慎二が不審点の多い保険金請求をめぐり、独自に調査を進めた結果恐るべき真実に辿り着く。
サイコパスにより次々と葬りされていく命。
「黒い家」を舞台とした殺戮エンターテイメント。

ちなみに、この「黒い家」は映画化されており、「悪の教典」同様、Huluで無料視聴する事が出来るので興味があればご視聴あれ。 


クリムゾンの迷宮 [ 貴志祐介 ]


悪の教典(上) [ 貴志祐介 ]

悪の教典の主人公・蓮見聖司に共感できる人は少ないはず

それでは最後に、小説・悪の教典に触れて終わりにしたいと思います。

私が「悪の教典」を読んでスゲーなと思った点はたった一つ。

それは、主人公・蓮見聖司に全く共感出来ないという点です。

一見するとメッチャディスってるように感じるかも知れませんが、それは誤解です。

先でも触れましたが、蓮見聖司はサイコパス(反社会性パーソナリティー障害)をモデルとしており、サイコパスの大きな特徴として、「衝動的で良心の呵責がなく、共感に乏しい」とあります。

つまり、蓮見聖司は多くの人とは全く違う感性を持っていると解釈することが出来ます。
逆に言えば、我々が蓮見に共感する事は難しいとも取れるでしょう。

貴志さんは、そのようなサイコパスの特徴を巧みに描写し、表現しています。

読んでいただければ分かると思うんですが、蓮見聖司の行動は脈絡無く衝動的なのに、用意周到で抜かりがないという一見矛盾する特徴があります。

しかしその背景には、常人では考えられないほどの情報処理の速さ、しっかりとした計算の上に成り立つ上辺だけの衝動的行動があり、ぱっと見は脈絡のない衝動的な行動に見える場面でも、実は緻密に計算され尽くした予定通りの行動であるという事が分かります。

用意周到と言ってしまうと意味が広くなってしまいますが、物理的な準備だけでは無く、相手に嘘を付き巧みに欺く狡猾さなども含め用意周到なのです。

その上で、人を殺めることに何の躊躇いも持たない(罪悪感・良心の呵責の欠如)サイコパスの特徴を兼ね備えているわけなので、作風は今更語るまでもないことでしょう・・・。

主人公に全く共感・肩入れできないのに、なぜか次々と読み進めてしまう「悪の教典」。

オススメですよ。

まとめ

というわけで、タイトルにある論争の結論は、

映画から見て大枠を捉え、小説で細かい心理描写を追っていく

のが、最もこの作品を楽しめる方法だと思います。

私が映画と序章を鑑賞した印象としては、本編で描ききれなかった部分を序章で補足しているといった印象を受けました。
なので、序章⇨本編⇨原作(小説)の順で鑑賞していくと「悪の教典」の単純な残忍さに隠れた奥深さを効率良く理解できると思います。

エンターテイメントとしては最高に面白い作品だと思うので、ぜひ一度ご視聴あれー。


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最後まで読んでいただきありがとうございました!
お役に立てれば光栄です。

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