【株式投資】企業の吸収合併の種類(M&A)
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投資の知識

Mergers&Acquisition
株式投資においての重要指標の一つであるM&A。
実はM&Aにもいくつか種類があるのは知っていました?
今回は、そんな知っているようで知らないM&Aの種類について簡単にまとめておきたいと思います。
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M&Aを大別すると2つ
企業の吸収や合併は二つに大別することが出来ます。
一つは経営権の移転を伴うM&A、もう一つは経営権の移転を伴わないM&Aです。
よく聞くアライアンスやOEMといった戦略的業務提携は経営権移転の伴わないM&A、残りのM&Aは経営権移転が伴うM&Aに大別することが出来るんです。
そもそもM&Aはなぜ行われるのか?
企業買収や合併が行われる背景にはちゃんと理由があります。
例えば、生産ラインを一元化して大量生産をスムーズに行い固定費の分散を図るだとか、同じような事業を展開している会社を吸収して市場専有率をあげたいだとか。
まぁ理由は時々によって様々です。
巷では、垂直だー、水平だーなどと言われていますが、元を正せば事業規模拡大や効率化を図りたい時に行われる事が多いというわけです。
経営権移転の伴うM&A
合併
合併とは企業同士が資本と組織を統合し、法的に完全な一つの会社になる事です。
簡単に言えば、資本の違う複数社が1社になるってイメージです。
実は合併にも2種類あり、吸収合併と呼ばれる合併は、1社だけを残してそれ以外の吸収される会社の独立性を法的に消滅させる合併方式。
一方の新設合併は、合併するすべての会社の法的な独立性を消滅させ、再度新しい企業を設立するという合併方式。
個人的に合併に伴う経営権移転の場合は、水平合併と呼ばれる関連した事業同士の合併が多いような印象があります。
株式買収
いわゆる買収ってやつです。
買収と聞くとちょっとイメージが悪いかもしれませんね。
読んで字のごとく、経営権を取得したい企業の筆頭株主になるというわけです。
筆頭株主と言っても経営権移転を伴わせる場合には51%以上の株式を保有しないといけないわけですから、そりゃーもう大変な事なんですよ。
ちなみに買収時、TOB、EBO、LBOなど呼ばれる単語を聞いた事がある方も多いと思いますが、それらは株式買収の手段の事です。
その他にも株式買収にはいくつか手段があるんですが、ややこしいの飛ばしましょう。
友好的買収・敵対的買収
株式買収で経営権を握ろうとする場合、幾つかの問題が出てきます。
その一つが友好的であるか、敵対的であるか、という点。
友好的買収とは、現経営陣の了承、同意を得た上で株式を買い集める過程の事。
一方の敵対的買収とは、経営陣の反対を押し切ってTOBなどでプレミア価格を付けた状態で株式を買い集める過程の事。
買収なんてヤダヤダヤダー、と言っている経営陣を尻目に特別価格で証券を買い取りまくり、経営権を握ろうとするわけです。
その敵対的買収を防ぐ方法として、あらかじめ現経営陣解任の際には高い退職金を支払うよう再契約したり(ゴールデンパラシュート)、他の友好関係にある企業に自社の株式を買い取ってもらい敵対的買収を防ぐ方法(ホワイトナイト)などが知られています。
事業譲渡
簡単に言えば、会社の一部を他企業に売るって感じのイメージ。
最近で言えば東芝がキヤノンにメディカル分野の事業譲渡を行ったのが記憶に新しいところでしょうか。
会社の資金繰りに困っている場合に主力事業部を売りに出して、損失補填を行うと言えばイメージが付きやすいでしょうか?
経営権の移転を伴わないM&A
ジョイントベンチャー
いわゆる合弁会社です。
様々な企業がお金を出し合って一つの企業を設立し、その企業に経営資源を集めて事業を行うM&Aです。
合弁の場合、一概に会社同士がくっつく狭義のM&Aとは少し違うのでイメージしにくいかもしれませんが、これも立派なM&Aなんです。
私の感覚としては前述した水平統合に近いような気がしますね。
お互いの眠っている主力事業になりうる資源を統合して相乗効果を生みません?的な。
OEM(Original Equipment Manufacturing)
これは競合先のブランドに商品の製造を行ってもらう為のM&Aです。
「は?同業者に製造頼むとか謎やし」と、一瞬意味が分からない説明だと思うんですが、実は同業内でも事業規模の小さい企業が事業規模の大きい企業に製造を委託するのは良くある話なんです。
となれば、お互いのメリットは何なのさー?と感じる事だろうと思います。
製造委託側の大きなメリットは、設備投資に掛けるお金が少なくて済むという点です。
単純に事業規模が小さいがゆえに独自の製造ラインを持てないわけですから、無理にラインを確保しようとすれば倒産の恐れがあります。
その問題を業務委託という形でライバル企業に製造委託すれば設備投資費用を浮かせる事が出来るというわけです。
製造受注側のメリットは、設備稼働率の向上などによる固定費の分散です。
少し専門用語になりますが、累積生産量の向上という観点から固定費を浮かせる事が出来るんですが、そのためには継続した設備稼働が必要になります。
ですが、設備稼働率を上げる為に市場需要より余分に製造を行ってしまうと、変動費がかさみ却って固定費を圧迫してしまう場合があります。
その余分な製造を無駄にしない為に小規模同業者の製造受注を行い、設備稼働率を合理的に上げようというわけです。
まとめ
というわけで、簡単にではありますがM&Aについてまとめておきました。
今回紹介したのはM&Aのさわり部分のみですが、とりあえず株式投資を行うにあたって概要は捉えておいたほうがいいと思います。
一応言っておきますが、事前に身内から合併などの情報を聞いて取引した場合、証券取引法違反(インサイダー取引)に抵触する危険があるので注意してくださいね。
では
最後まで読んでいただきありがとうございました!
お役に立てれば光栄です。
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