刑法の殺人罪の具体的事実の錯誤って・・・

公開日: : 予備試験

      

単なる論文ネタ?

法律の勉強をしたことのある人なら誰しもが聞いたことのあるであろう、「具体的事実の錯誤」という典型論点。

私はこの論点について不思議に思っていることがあります。

それを少しだけ吐きます。

✳︎注:この記事は、論文攻略になんら貢献しない単なる雑談記事なので悪しからず。

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初めて聞く人のために簡単に説明

具体的事実の錯誤とは、犯罪成立における行為者の主観面について、つまり「故意」が認められるかに関わるお話です。

まず前提として、刑法は原則として行為者に「故意」が認められる必要があります。

極端にいえば、殺そうと思って行為に及ばない限り「殺人罪」にはなりません。

そこで一つ、こんな例を考えてみてください。

あなたは借金苦から家康を殺そうとしたところ、手違いで想定外の秀吉を殺してしまった。

この場合、あなたに「殺人罪」は成立するでしょうか?

当たり前に成立するだろう!と思いがちですが、あなたはあくまで家康の殺害を意図していたわけで、秀吉を殺そうという気は微塵もなかったわけです。
すなわち、秀吉殺害に向けられた「故意」があったとは言えないわけです。

そうだとすれば、「疑わしきは被告人の利益」に則って、被害者たる秀吉殺害に対しての「故意」は認められないから「殺人罪」が成立しないとの結論も一応考えられるところ。

しかし、この結論は妥当だと思いますか?

仮にも人を殺しているわけですから、あまりに軽々しく故意がないと認めるのは妥当とは思えませんよね。

そこでこのような場合に登場するのが、具体的事実の錯誤という論点。(と言うか故意を認めるための処理方法)

その手順としては、

故意責任の本質は、やってはいけないと分かっていてあえてやったことに対する非難

「人を殺してはいけない」というのは、誰しもが知っている「やってはいけないこと」

秀吉も家康も「人」に変わりはない

秀吉だろうが家康だろうが、「人」を殺してはいけないと分かっていたはずだ

「人」を殺したと言う意味では、なお殺人の故意が認められる

こんな感じで、「誰を殺した」かに着目するのではなく、「人」を殺すこと自体がいけないこと解釈して故意を認めていくことになります。

疑問点・・・

この論点、「具体的」事実の錯誤として受験生なら規範ごと丸暗記しているような話だと思います。

当然、私も丸暗記してます。

が、私は何が具体的なのかが一向にわからないのです。

別に今更間違えるような話でもないのであまり気にしてないのですが、いつまでたっても何を指して「具体的」と言っているのか、その言葉の意味がわからん。

おまけに、こういう事例って実際の世の中で頻出するのか?という疑問もあります。

実際に人を殺そうと思った時、多くの人は拳銃を手に入れる手段がありませんよね。
なので、殺害方法として銃殺というのは結構稀だと思うんですよ。
それに、人を殺す上で目撃者がいると厄介ですから人通りが少ない場所を選ぶのが常だと思うんです。

だとすれば、弾丸が逸れて同一構成要件内で意図しない客体に結果が発生するって状況自体、結構考えづらいと思うんですよね。

それにもかかわらず、問題文ではそのような状況をよく目にしますし、論点としても特Aクラスの重要論点に位置付けられています。

これが不思議でならないわけです。

まとめ

というわけで、具体的事実の錯誤にまつわるどうでもいい疑問でした。

無論、今は受験生として「そういうもんか」と割り切っていますが、いずれこのもやもやは晴らしたいですね。

最後まで読んでいただきありがとうございました!
お役に立てれば光栄です。

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