予備試験の勉強は短答と論文のどちらからするべきか

公開日: : 予備試験

      

論文の壁

おそらく予備試験受験を考えている人の多くが「短答・論文のどっちから勉強するべきなんだ?」という悩みにぶつかると思います。

この疑問、多くの予備校講師の方々が答えているように、「論文試験に注力するべき」であるとことは明白です。

それでは、なぜ論文試験を中心に据える必要があるのか?

私見ではありますがつらつらと。

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要因その1 単純に法律に対する力がつく

論文式試験は、①与えられた事案を分析し、②一定の結論を導き、③それを制限時間に答案上で表現する、という3つの作業が必要になります。

さらに、②については判例や学説を駆使して、根拠の存在する理論展開をすることが求められます。

ですから、ときには判例の不都合性を指摘した上で、異なる立場から妥当な結論を導くという柔軟さも必要とされます。

すなわち、判例がどのように考えているのかを知っておく必要があるとともに、その結論を取ることの不都合はどこにあるのかを知らないと話にならんわけです。

ね、力がつきそうでしょ?

要因その2 論文論点は短答でも頻出

例えば、民法の重要論点の一つに「不動産賃借権には時効取得が認められるのか?」という論点が存在します。

んで、結論は、「目的物の継続的用益という外形的事実の存在があり、かつ、それが賃借の意思に基づくことが客観的に表現されている」場合には、時効により取得が認められることになります。(162条の要件を満たす必要があることもお忘れなく)

ところで、「」の部分は判例の言い回しをそのままパクってるわけですが、実はこの言い回しが短答の肢としてそのまま出題されたりします。

こんな風に↓

「目的物の継続的用益という外形的事実の存在があり、かつ、それが賃借の意思に基づくことが客観的に表現されている」場合には不動産賃借権に時効取得が認められる

みたいな感じで。

答えはいうまでもなく、「◯」ですよね。

この判例の言い回しを覚えておけば、とりあえず短答の肢の一つは確実に切れるわけでございますよ。

他にも「債権には時効取得は認められない」という肢が出題されていれば、上の知識を活かして難なく肢を一つ切れるわけです。(不動産賃借権は債権なのんで)

そんなわけで、論文論点は短答の複数の肢に跨っている場合が多い上に、どれもこれも短答で頻出の肢だったりするので、頭に叩き込む上で非常に効率が良いのです。

要因その3 横断的な知識を必要とする

例えば、刑法総論の故意犯の問題を分析する際には、

①客観的構成要件該当性(実行行為・結果・因果関係)

②主観的構成要件該当性

③違法性阻却事由

④責任

という具合に体系を意識しながら事案を分析する必要があります。
そして、答案上でもこの順番を意識しながら主張を展開していくことになります。

つまり、責任を語る前提として違法性阻却事由が無いこと、またそれを語る前提として主観的構成要件に該当していること、さらにそれを語る前提として客観的構成要件に該当している必要があるということです。

したがって、問題文の事情から正当防衛(③)が問題になりそうだな〜と読み取れたとしても、そもそも実行行為性(①)がなければ正当防衛を論ずる前提を欠くことになります。

それにもかかわらず本試験で正当防衛を論じてしまったら、多分一発アウトです。

それぐらい刑法という学問は体系を意識する必要があるわけです。

まぁ犯罪と刑罰に関する法律が刑法なわけですから、犯罪に該当するかどうかの判断には慎重さが求められるぞーってことですかね。

で、結局何が言いたいかといえば、「このような体系を意識した勉強は論文でしか出来ない」と言うことです。

短答ではせいぜい、実行行為性は認めれるか?因果関係は認められるか?故意は認められるか?正当防衛は成立するか?という感じで、断片的な問いかけしかしてきません。

確かに各成立段階での知識には強くなるでしょうが、これでは刑法的思考とは合致しません。

ですから、知識を横断的に使用し、否が応でも体系を意識せざるをえない論文の勉強に時間を割く方が良いわけです。

(あと、論文の勉強を始めると罪数論に強くなるよ!)

要因その4 テキストや教科書・基本書では理解不能だった内容が突然分かるようになる!

結局ねー、私が言いたいのはこれですよ!

私は刑事訴訟の「訴因変更」にまつわる話がすこぶる苦手でした。
というか、意味がわからなすぎて理解を諦めていました。

単一性やら同一性やらなんのこっちゃわけわからん!って感じで。

ところがどっこい、論文の勉強を始めたところ、いともあっさりと理解することが出来ました。
あれだけ何度読み返しても意味がわからなかったのに、論文の具体的な事案に即して知識を整理したところ、驚くほど容易に理解することが出来ました。

しかも、その理解が進んだきっかけの問題は訴因変更とは全く無関係の勾留請求の問題&刑法の罪数認定の集積です。

そんなわけで、思いもよらない契機で難解な理屈がいともあっさりと理解できたりするのも論文のいいところ。

だから、みんなも論文に力を入れよう!

まとめ

さて、散々偉そうなことを語ってきましたが、私自身は未だに論文は当然として短答すら突破していませんw

今年こそは頑張るぞ〜。

最後まで読んでいただきありがとうございました!
お役に立てれば光栄です。

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