ソフトバンクホークス投手陣はなぜ怪我が多いのか?理由を元PTが考えてみる

公開日: : 最終更新日:2020/12/16 ソフトバンクホークス, 球速アップトレーニング

      

ホークス投手陣はこの路線でいく限り怪我は減らない

どうも。
ライオンズファンの元理学療法士新常です。

タイトル通り今日は元PTとして、なぜSBの投手陣に怪我が絶えないのかを考えてみたいと思います。

結論だけ先に言わせてもらうと「高出力に体が耐えられないから」だと思います。
そしてSBはこの投手力を維持する限り怪我人は減ることはないだろうとも思っています。

私がそのように考えた理由を以下で解説していきます。

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みなさんが思う通り「速いストレート」と「フォークの多投」が原因

ホークス投手陣の特徴といえば、速いストレートと鋭いフォークボールです。
この二球種を中心として、とにかく相手打者を捩伏せる。
まさにホークス投手陣の強さの源でしょう。

ただ、速いストレートとフォークは肘に強い負荷を掛け、怪我のリスクをはらんでいることも周知の通り。
特に速いストレートを投げる投手は腕全体を強くしならせてパワーを作り出すため、肘にメチャクチャ強い外反ストレスがかかっている可能性があります。

この強い外反ストレスが繰り返し掛かる事により、靱帯が負荷に耐え切れず断裂や損傷をしてしまう。

これがホークス投手陣に怪我が多い原因だと思います。

肘の故障は今後減ることは無い

まあ高出力は怪我とのトレードオフみたいなところもあるので、その代償として怪我をしてしまうのは仕方の無いことだと思います。
しかし冒頭でも話したように、残念ながらこのトレードオフの関係は今後に渡り解消されることは無いと考えています。

その理由は、「日本人は靱帯が細い」からです。

日本人は外国人選手と比較すると体の靱帯が細く強い負荷に耐えられないため、どうしても怪我や損傷が増えてしまいます。

一例ですが、膝には前十字靭帯という脛と太ももの骨をつないでいる靱帯があります。
この靱帯が断裂した場合、通常なら反対側のお皿の下に付いている「大腿四頭筋腱」を再建靱帯として利用します。
しかし日本人の多くはこの腱が細いため再建に利用できず、代わりに太ももの内側の筋肉を削いで腱を作成します。

このように靱帯と腱の違いはありますが、日本人はその生まれつきの骨格から体の組織が欧米人に比べて細い場合が多いので、どうしても強い負荷に耐えられないのです。

靱帯は鍛えられない

さらにもう一点。

筋肉と違い靱帯は意識的に伸縮できる組織ではありません。
つまり、「靱帯は鍛えられない」のです。

細い説明は省きますが、鍛えられないということは肥大が起こらないと言うことです。
なので、靱帯は一定以上の負担に耐えられない組織なのです。

皮肉ですよね。
強い球を投げるために必死で体を鍛えたのに、その肥大した筋力により生まれたパワーが原因で靱帯に強いストレスが掛かって痛めてしまうわけですから。

でも日本人である以上、これは逃れる事の出来ない現実なんだと思います。

激しい競争があるのも要因か

またこの怪我の悪化に拍車を掛けているのが、ホークス投手陣の層の厚さでしょう。

この甲斐野投手の発言にもあるように、痛いのに痛いと言えば蹴落とされると言う危機感がある事も大きな要因だと思います。

この問題は非常に難しいですよね。
怪我を素直に申告すればプロとして自分の職場を失う可能性があるけども、怪我を隠した状態ではチームに迷惑が掛かる。
どちらも究極の選択でホント厳しい世界だと思います。

他球団もホークス投手陣を模範するなら怪我のリスクは承知しておくべき

先日の日本シリーズで見せた圧巻の投手リレーは、他の11球団の目に強烈に焼きついた事だろうと思います。
おそらくこのホークス投手陣を模範して、強く速い直球と鋭いフォークボール路線に倣う球団も増えてくるでしょう。

しかし、この路線は怪我人を増やし早期に選手生命を絶つ危険がある事を絶対に忘れてはいけません。

ソフトバンクホークスという球団は球界の中でも高い人気を誇る球団ゆえに、一年間しっかり活躍した選手には他球団以上に報酬を支払う資金力があります。
また九州唯一の球団という利点や親会社の強力バックアップを生かして、引退後の生活もある程度見込める状況にあるでしょう。
そのような環境だからこそ可能な育成方針とも言えます。

この事を念頭に置いた上で、選手の生活を預かる立場として選手育成の方針には慎重になってもらえたいと願っています。

怪我で力の衰えた選手を見るのはファンも辛いですからね・・・。

最後まで読んでいただきありがとうございました!
お役に立てれば光栄です。

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