理学、作業療法士が訪問リハビリへの転職に失敗しないために
公開日:
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最終更新日:2019/10/25
コメディカルの仕事、転職、副業

転職後に気持ちよく働くために
訪問リハに転職する上で、色々と悩んだり迷ったりしているだろうと思うんです。
経験が必要なんじゃないか?
給料形態は実際どうなの?
仕事はきつい?
などなど、先の不安に対して、解決方法を血眼になって探している事だろうとお察しします。
とは言っても、実際リハ関係者でブログなどを更新している人は極小なので、あまり有益な情報が掴めないというのが現状でしょう。
というわけで今回は、「訪問リハビリへ転職する際に気をつけること」というタイトルで、訪問リハについて少しだけ書いてみようと思います。
私の訪問リハ歴は約4年
私は28歳にして3度の転職を経験し、最終的に(?)訪問リハに落ち着いた身です。
そのあたりの詳しい経緯はこちらにまとめているので参考にしてください。
⇨28歳理学療法士が3度の転職で給料を上げた実体験を語ってみる
なんだかんだで訪問リハに転職してから3年近くが経ってしまいました。
いつの間にか28歳です。
時が流れるのは早いですね〜。
ぶっちゃけ訪問はどうなの?
さて、この記事を読んでくれている方の多くが求めている情報は「訪問リハって実際どうなの?」というぶっちゃけトークですよね。
で、結論から言えば、「結構楽しい」です。
基本的に待遇はいいと思う
まずは気になる給与面から見てみることにします。
一概には言えませんが、今のあなたの待遇よりは幾分改善が望めるのではないかと思います。
地域によって基本給の額は違いますが、それでも27〜8万円程度の基本給は貰えると思いますよ。
それにプラスしてインセンティブがつきます。
インセンティブに関しては、各法人が設けている規定があるのでこちらも一概には言えませんが、大体の事業所は、月80件を超えた場合or月の訪問時間の合計が80時間を超えた場合、その後の訪問は1件につき4000円を支給って感じの場所が多いと思います。
分かりやすく計算してみると、
月100件訪問した場合は基本給28万円+(超過訪問分20件×4000円)=36万円って感じですね。
この場合、訪問100件÷月20日勤務=1日5件(人)の訪問で事足ります。
1日5件程度であれば楽でもなく忙しくも無いといった感じ。
実際、繁盛している事業所であれば、1日に8件の訪問をこなしている人も少なくないですよ。
仮に1日8件、月に160件訪問した場合だと、
28万円+(超過訪問分80件×4000円)=60万円って感じになります。
流石に1日8件の訪問はしんどいですが、まぁ気合いと根性で乗り切れなくも無いといった件数です。
このように、働けば働いた分だけ給料に反映される訪リハは、医療業界では珍しく経験や技量によって給料が変動する職域と言えるわけです。
気楽に働きたい人にも向いてるかも
私が訪リハで働いていて、転職して良かったなーと思える瞬間がいくつかあります。
その一つが、他人の干渉を受けづらいという点です。
もちろん利用者さんあっての我々リハ職なので、利用者さんの前で手を抜くことは、まずありえません。
他人のホームにお邪魔するという意識は常に持ちながら、呼び鈴を鳴らすその瞬間に一気に仕事モードのスイッチが入ります。
しかし、訪問を終えてから事業所に戻り、事業所でゆっくりしている時間は良い意味でoffモード。
考えてみれば、他人の家にお邪魔してリハを行う事は病院でリハを行うより数百倍気を使うので、事務所でのoffモードは自分を潰さない為にも重要なのかもしれません。
そして、そういうoffの空間を期待して訪リハに転職する人は意外と多いので、良い意味でお互いに干渉し合わず、マイペースで働ける職域でもあるわけです。
まぁみんな考える事は同じという事ですねw
倒産のリスクは必ず片隅に置いておきましょう
これは訪問事業所で働き始めた時からずっと思っていたことですが、基本的に安全・安定思考の人は訪問に向いてないと思います。
これは資質云々の話ではなく、単純に事業所側の都合の話です。
まぁ単刀直入に言ってしまうと、医療法人ではない訪リハの事業所は倒産のリスクを常に抱えているわけです。
経営学や会計に精通している人は分かると思いますが、医療保険・介護保険の振り込みが行われるのは、レセを提出してから2か月後です。
これは、事業所を開設してから2か月間は必ずキャッシュ(現金)不足になる事を意味しています。
要は赤字というわけです。
この赤字は主にスタッフへの給料、家賃、備品代などにより構成されるので、必ず発生する赤字とも言えるんです。
ですが、いくら赤字とはいえ給料・家賃の滞納は即倒産を意味しています。
となれば、銀行から借金をして給料や家賃を支払うわけです。
銀行からカネを借りれば、当然利子が付きますよね。
その利子を返すために売り上げが圧迫される。
売り上げが上がらなければ給料は支払えないので、また銀行から借金をする。
この永遠ループ、いわゆる自転車操業で雪だるま式に借金が積もり、やがて倒産してしまうわけです。
経営母体がいくつも事業を展開していれば話は別ですが、訪問事業所を運営するためだけに会社を設立する人も多いですから、その辺りの見極めは結構重要ですよ。
それに、運営母体が医療法人の場合と営利企業の場合とでは、経営者の哲学に大きな差があります。
医療法人では「地域医療を展開した先に大きな利益が得られるのでしばらくは赤字に耐える」という考えが根底にありますが、営利企業の場合は「一事業としての訪問事業なので、採算が取れなければ潰す」といった感じです。
なので安定思考の人は無理して訪問に行くのはお勧めできません。
どんなに待遇が良かろうと、病院より確実に倒産の確率は高いですよ。
安全な訪リハ事業所を選ぶ方法はあります
もちろん営利企業が展開しているからと言って、どこの事業所も潰れるリスクが高いとは思いません。
ただ、医療法人傘下の事業所に転職するのが一番安全だという意見も否定できません。
とはいえ、医療法人傘下の訪問事業所に転職するのはなかなか難しいんです。
なぜなら、医療法人が運営している訪問事業所は基本的に同法人内のスタッフが配属されるからです。
あなたが今働いている病院にも訪問事業部門があるかも知れませんが、そこで働いているスタッフはリハ科から配属されたスタッフばかりだと思います。
下手したら外部の人は一人もいないかも。
訪リハが併設されている病院に転職しても病棟のリハに配属されてしまっては本末転倒。
そう考えると、結局は営利企業が経営している事業所に転職するしか選択肢が無いんです。
当然、折角の転職なので失敗したく無いと誰しもが考えると思います。
そこで今から、営利企業運営の訪リハ転職に失敗しないためのたった一つのポイントを紹介します。
あなたが転職する際に見るべきたった一つのポイント、それは訪問事業の継続年数です。
訪問事業所は病院と明らかにビジネススタイルが違う
訪問事業の継続年数がなぜ重要なのかを知るためには、病院と訪問の事業スタイルの違いを知っておく必要があります。
基本的に病院は「待っていれば患者が来る」事業スタイルですが、訪問事業は「自分たちから利用者を取りに行かなければならない」という事業スタイルです。
もっと詳細に言うならば、「地域包括や居宅支援のケアマネに事業所の存在を認知してもらえなければ、永遠に利用者を紹介してもらえない」ということです。
基本的に訪問事業は、ケアマネを中心に各々の事業所に利用者さんが割り振られます。
つまり、地域の訪問事業所を生かすも殺すもケアマネ次第というわけです。
実際に私が勤めている事業所の訪リハ利用者も、99%以上はケアマネからの紹介に依存しています。
「訪問事業の継続年数を重視するべき」といった理由がなんとなく見えてきましたね?
要は、ケアマネに認知されていない事業所は利用者を確保できなくて潰れるというわけです。
逆に、複数年事業を継続して出来ているということは、地域のケアマネにも認知されていて一定数の利用者が確保できているわけです。
換言すれば、余程のことがない限り潰れる心配もないと言えるんですね。
では、具体的にどの程度の継続年数がいいのか?
これは私の経験則ですが、2年以上継続して事業を続けていれば大丈夫だと思います。
実は私が転職した訪リハの事業所は、開設してから1ヶ月弱の超絶新参事業所でした。
当時職員は看護師を含めて6名いましたが、利用者はわずかに3名。
その当時、職員一人につき30万の給与が支払われるとして、6人×30万円=180万円の固定経費が掛かっていたことになります。
当時利用者は3名でしたので、事業所としての実収入は20万円に満たない額です。
人件費だけで160万円の赤字です。
これ以外にも家賃や交通費などの出費もあるので、月ベースで200万円以上の赤字でした。
年間で2500万円近くの赤字になる計算ですね。
仮にこれを2年間続けてしまった場合、有利子負債は5000万円近くまで膨らみます。
ここまで借金が膨らめば中小の財力では事業継続は不可能。
裏を返せば、2年以上継続できている事業所は借金返済の目処が立っている事業所とも言えるわけです。
なので、事業継続年数は最低でも2年を下限に選ぶと良いと思います。
転職活動に失敗しないために
最近ではリハ職専門の転職サイトも増えてきましたが、どの求人情報を見ても詳しい情報が載っていないのに気がつきました?
給与や勤務場所などは載っていますが、肝心の継続年数や職場の雰囲気などは一切載っていないですよね。
こういう表に出ない情報を得るためには転職サイトではなく、転職エージェントを利用する必要があります。
転職エージェントとは、あなたの転職活動を手伝ってくれる転職アドバイザーが在籍している企業のことだと思っていただければOKです。
転職サイトを運営しているリクルートという企業を聞いたことあると思うんですが、これがまさしく転職エージェントのことです。
そして、転職アドバイザーが手伝ってくれる範囲は多岐にわたります。
例えば、あなたに変わって事業所と給料の交渉を行ってくれたり、一般公開していない優良求人を紹介してくれたり、職務経歴書の添削を行ってくれたりと、あなたが抱える転職の不安を全力でサポートしてくれます。
基本的にサポートは電話で完結しますが、希望すれば実際に会って模擬面談などもやってくれますよ。
もちろん利用は完全無料です。
無料の理由はビジネスモデルにあるんですが、これは話が脱線するので割愛します。
とにかく転職エージェントを利用するメリットは大きいです。
大した保証になりませんが、私はその恩恵を漏らすことなく受けてきた自負があります。
転職活動に対する安心感という意味でも、入職後に納得できる職場という意味でも、ぜひエージェントを利用してみてください。
しかも忙しい中で求人を探すのは本当に骨の折れる作業ですから、希望を伝えるだけで全てを代行してくれるのは本当にありがたいんです。
エージェントを使い倒すのが転職成功のコツ
冒頭でも言いましたが、私自身3度の転職経験があり、その都度いろんな転職サイトやらハロワやらを散々利用してきました。
ですが、結局のところエージェント経由でしか転職は成功してませんw
いや、転職自体はハロワでもなんでも出来るんですけど、その転職が成功だったか否かは全くの別問題。
ハロワなんて広告掲出費用がほとんど掛からないですから、求人出す方も結構いい加減だったりしますからねー。
で、そういう事情に鑑みれば、やっぱり民間のエージェントにサポートしてもらうのが一番確実。
個人的なオススメで申し訳ないんですが、もしエージェントを使うならマイナビコメディカルは病院系、施設系、訪問系に限らずリハ職の転職市場で大きな規模を誇ってるので圧倒的オススメですね。
今更言うまでも無いかもですが、マイナビの良さは多分野の転職を手がけることによって得られた、幅広いノウハウといった感じです。
まぁ端的に言えば、他社より視野が広い的な。
それに、転職という一世一代の決断に他人の介入を許すわけですから、そりゃー大手サイトの方が安心できるに決まってますよねー。
あとは似たような理由から、PTOT人材バンクなんかもオススメです。
ぜひ皆さんも転職の時には活用してみてくださいね〜。
▼PT・OTの転職ならマイナビコメディカルに相談!
→マイナビコメディカルの転職サポートに申し込む
自分の力を試したい人は開設初期の事業所も面白いかも
病院で働いていると環境に慣れてしまって業務がマンネリ化する場合が多いと思います。
ですが先ほど言ったように、開設初期の訪問事業所は自分自身で仕事を取りに行く必要があります。
これを言い換えると、あなた自身の総合的な仕事力を試せる場でもあるということ。
自分たちの事業所の長所をロジカルに説明する力、飛び込みで営業をかける積極性など、リハビリとは関係無い分野での仕事力が大いに試される場でもあります。
こういうチャレンジングな環境に燃える人は是非とも開設初期の事業所に転職して、自分自身の「総合的な仕事力」を確かめてみるのありですよ。
まとめ
さて、簡単ではありますが、訪リハ事業所の選び方をお伝えしてきました。
先ほど紹介した転職エージェントはぜひ使い倒してください。
ビジネスモデルの関係上、マイナビ側もあなたが長く働ける環境を紹介することに意味があるので、とことん転職活動に付き合ってくれます。
もちろんアドバイザーが合わないと感じたら途中で変えてもらうこともできるので遠慮なく意見をぶつけてください!
せっかくの転職なので少しでもいい環境で働けるようにやるべきことはやっておきましょう!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
お役に立てれば光栄です。
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